後ろ姿

今週のお題特別編「はてなブログ フォトコンテスト 2014夏」

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 先回の「平安時代のマイルドヤンキー」や、その前の「クルマ気をつけろよ」も、別のところの「肯定論法の奴」もそうなんですが、走ってる娘/息子の後ろ姿の画像がいっぱいあります。なぜか好きなんですね。もちろん前から撮ったものもたくさんありますけど、おそらく子供が自由に歩けるようになってからは、普段出かけたときに見るのが後ろ姿ばかりだからでしょうか。

今回のこれは函館の元町公園でiPhoneで撮りました。基坂の下の海上自衛隊の建物と函館湾、そして対岸も写ってますね。好きな公園です。

 

平安時代のマイルドヤンキー

今週のお題「名前をつける」

 

娘の名前は、ある小説の主人公の名前からつけた。 

 

その主人公は、ひ弱で間違いが多い私とは異なり、強く正しい女性剣士で、名前は刀剣に由来するものだった。妻も気に入っており、最終的にNHKアナウンサーの名前とこの名前が候補に残ったが、最終的な選択も揉めることもなく決まった。

 

調べたところ、その名前の言葉は「和名類聚抄」という平安時代に作られた辞書にも載っている、ずいぶん歴史の長い言葉だった。江戸時代の百科事典にも「和名類抄」が由来と記述があった(この江戸時代の百科事典は、講談社学術文庫 岩波文庫にあるため、わざわざ買って確かめた)。 

 

たまたま機会があって、その小説の著者の方には娘にサイン本もいただくこともできた。芸術家でもある著者の方はずいぶんな達筆で主人公の名前であり、娘の名前であるその言葉を書いてくれた。 

 

ところが、娘が大きくなると、この名前が他人からいわゆるDQN名/キラキラネームのように思われていることがわかった。「子」がつく名前よりも1000年以上歴史が古いのに。

 

よく考えると、平安時代の言葉は、音を当てたようなものばかりで、「仏恥義理」や「愛裸撫優」に似たDQN名みたいな言葉がけっこうあるのだった。平安時代の最先端文化人教養人とマイルドヤンキーが繋がると思うと、イオンが無いと生きていけない、ミニバンを愛する地方人としては痛快だ。いやそこまで感慨はないけど。面白いですね。

 

娘は今7才なのだけど、もう少し大きくなったとき、この名前をどう思うのかな。めんどくせえ名前つけたなあ、とか言われそうだけども、それもまた楽しみです。

 

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嬉遊笑覧〈1〉 (岩波文庫)

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クルマ気をつけろよ

今週のお題「私のお父さん」

 

私の父は「薄着過ぎるぞ」「気をつけて帰れよ」「食べてるか」「クルマ気をつけろよ」「風邪引くぞ」が口癖のようにうるさくて、三十を過ぎてこっちがオッサン化し、会うのが年に2-3回になっても「運転気をつけろよ」「無理するなよ」「家にはしっかり帰れよ」と多少内容は変わったものの、ずっと言われていた。「死ぬまで」とよく言うけども、父の場合本当に文字通り死ぬまで私に言っていた。

 

私も子供ができ、同じように「クルマ気をつけろよ」「傘開くときはまわり見ろよ」「飛び出すなよ」「風邪引くぞ」と言うようになって、あれは口癖ではなくて、おそらく毎回本気で言ってたんだというのが分かった。

 

そう、私は毎回本気で心配して言っている。

 

おそらく私もこれから先、娘がオバサン化しても、死ぬまでずっと本気で言い続けるのではないかと思います。

 

娘よ、私が死ぬのが早いか、君がオバサンになるのが早いか、勝負だ(話題の横すべり)

  

 

 

娘よ/コップ酒

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父よ [DVD]

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夢、マトリックス、1Q84その他の短編

今週のお題「お花見」

 

結婚して最初に二人で花見にいったときはふつうに楽しんだが、子供が生まれたあと、子連れで始めて花見に行ったときは、ちょっと目の前の事態が自分のこととは思えずめまいがした。

桜の下にレジャーシートを敷いて、妻と赤ん坊とお花見をしてる。この私が!?

 こういうできごとはずっと向こう側のことだと思っていたのだ。自分がそういうシチュエーションにいることが信じられない。夢みたい。しかもその年は満開後に行ったので、風が吹くとハラハラというよりザザザーと桜の花びらが舞ってる。春の日差しの中でなんだか眠い。ふと目が覚めたら十代のころの、あの高円寺の四畳一間風呂トイレ無しの部屋にいるんじゃないかとか、怖くなってきた。

幸せな状況に慣れつつも一方で、そんな違和感をずっと感じながら何年も花見をくりかえした。そして先週末もまた行ってきた。

 子供は二人になっていて、ベビーカーもいらなくり身軽になって、娘は器用に箸を使って熱いタコヤキを自分で口でフーフーと冷ましながら食べ、jkondo家のお子さんと誕生日が近い息子は、私が自分用にブラジル人屋台で買った牛串を食べてしまっている。食べ終わると広場で二人でケタケタと笑いながら走り回っている。トイレのタイミングと迷子の予防だけすれば、子供連れの外出がずいぶん楽になった。子連れである手間の方が多く、しばらくやめていたお弁当づくりも来年からまた復活しようという話もしたりして。 

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 もう何年かしたら娘はきっと父親を嫌がるようになり、息子もそのうち一緒に外出するのを避けるようになるはずだ。寂しい反面、子供には、そういうまっとうな思春期と反抗期を過ごし成長していってほしいと思っている。って、何をえらそうに親父面して言っているのだ。

 

本当にこれは夢だと思う。

ていうかまあ夢なんだけど。

 

でも夢だとしてもマトリックスだったとしても1Q84側だったとしても、その中で10年近く生々しく過ごしているんだから、別になんでもいいとも思う。なにはともあれ桜はきれいなのだし、私は確かにむこう側にいるのだから。

1Q84 BOOK 1

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櫻画報大全

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マトリックス [Blu-ray]

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優しくって少しばか

今週のお題「卒業」

 

人間はつい気取ったことを言いがちです。

 

ほら。

 

ここでは「私はつい気取ったことを言いがち」と書けばいいものを、大上段に「人間は」とか「我々は」とか「電脳空間をたゆたう一介の電子信号群でしかない我々ブロガーは」とか書いてしまいます。だれがブロガーだ。

 そういう時は言い換えればいいですよ、と言ったのは原田宗典さんでした。例に挙げられていたのは「仮面」でした。「私は私という仮面を被っている」というと奥が深く文学的な人間を思い浮かべますが、彼は「仮面」は「お面」と言え、と言います。「私は私というお面を被っている」

 

ほら、

 

夏祭りの縁日の風景が浮かんできたでしょう。

 

 

優しくって少しばか (集英社文庫)

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 ザ・イーグルスというロックバンドがあります。誰もが聴き飽きている「ホテル・カリフォルニア」や「テイク・イット・イージー」という曲を生み出したバンドです。ロスオリンピックのときに作られたジャニーズのグループじゃないですよ。

 このバンドがまたメンバーが仲が悪いんですね。特にドン・フェルダーという方は孤立していて、再結成後の2000年「解雇」させられました。これね、普通はロックバンドで誰かが辞める時は「脱退」といいます。ロックバンドっぽく楽屋裏や打ち上げでビール瓶が乱れ飛ぶような喧嘩をしているイメージです。レコーディングスタジオでギタリストがポールに文句を言われて不愉快そうにしているイメージです。かっこいいですね。ていうかポールってだれ?

でも「解雇」です。一気にビジネス感が増し、産業ロックっぽくなります。実際のところあれだけのビックバンドになるとスピリッツではなくビジネスでないとなかなか回りませんから、仕方ないところもあります。

 ところで、最初はオールナイターズ、そしておニャン子クラブあたりがきっかけだと思うのですが、グループを辞めることを少しオブラートに包んで「卒業」というようになりました。これは現在のAKB48にも引き継がれます。

 

虹色のカノン

虹色のカノン

 

 もうね、ロックバンドも「脱退」とか「解雇」じゃなくて「卒業」でいいと思うんですよ。基本は「卒業」。「ドン・フェルダー、イーグルスを卒業」「シド・バレットピンクフロイドを卒業」「エース・フレイリー、キッスを卒業」(あ、キッスは卒業が似合いますね)。そうやって相対化してしまって、さらにそこに収まらないものが出てきたら、おそらくそれがロックスピリッツみたいなものじゃないかと、そう思うわけです。

 以上、卒業について書いてみました。

 

 ドン・フェルダーさんについては、2009年に出版された自伝が参考になります。

  

ドン・フェルダー自伝 天国と地獄 イーグルスという人生

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ほら、

 

気取ってるでしょう。なにがイーグルスでしょうか。しかも「ザ」イーグルスですよ。おれはちょっとロックに詳しいんだぞみたいな、メジャーな曲も素直に紹介せずに「聞き飽きた」とかね。ほんとうにいやらしい。というか「ジ」イーグルスですよね。

 

イーグルスの話は、チェッカーズ高杢禎彦さんにだいたい置き換え可能です。

チェッカーズ

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ザ・インターネット [DVD]

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SATURDAY NIGHT FEVER

GAMECENTERスタイルはちょっとSNFぽいですね。
なぜなら今の私に大事なのは青いシャツを買うことなのです。

 

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サタデー・ナイト・フィーバー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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GAMECENTER

流行ってると聞いてGAMECENTERにしてみました。

http://blog.hatena.ne.jp/-/store/theme/6435922169449548980

 

ゲームセンターというとみながR-TYPEをしている時代に隅っこでギャラガを毎日やり続けたら、通りすがりのゲーマーが裏技を教えてくれたことがありました。しばらく打たずに光線で捕捉されるのを待つんだったかな。26年前の話です。あとは友人とトラックボールのようなもので操作するサッカーゲームに毎日汗だらけで取り組んだらトラックボールにあたる指の腹から血が飛び散ったりしました。あれが私のサムライジャパンでした。さらに時間をさかのぼると、中学生のときに1回、高校生のときに1回、突然の教師の巡回査察に遭い、ゲームセンターの裏口や窓から逃走したのもよい思い出です。