平安時代のマイルドヤンキー

今週のお題「名前をつける」

 

娘の名前は、ある小説の主人公の名前からつけた。 

 

その主人公は、ひ弱で間違いが多い私とは異なり、強く正しい女性剣士で、名前は刀剣に由来するものだった。妻も気に入っており、最終的にNHKアナウンサーの名前とこの名前が候補に残ったが、最終的な選択も揉めることもなく決まった。

 

調べたところ、その名前の言葉は「和名類聚抄」という平安時代に作られた辞書にも載っている、ずいぶん歴史の長い言葉だった。江戸時代の百科事典にも「和名類抄」が由来と記述があった(この江戸時代の百科事典は、講談社学術文庫 岩波文庫にあるため、わざわざ買って確かめた)。 

 

たまたま機会があって、その小説の著者の方には娘にサイン本もいただくこともできた。芸術家でもある著者の方はずいぶんな達筆で主人公の名前であり、娘の名前であるその言葉を書いてくれた。 

 

ところが、娘が大きくなると、この名前が他人からいわゆるDQN名/キラキラネームのように思われていることがわかった。「子」がつく名前よりも1000年以上歴史が古いのに。

 

よく考えると、平安時代の言葉は、音を当てたようなものばかりで、「仏恥義理」や「愛裸撫優」に似たDQN名みたいな言葉がけっこうあるのだった。平安時代の最先端文化人教養人とマイルドヤンキーが繋がると思うと、イオンが無いと生きていけない、ミニバンを愛する地方人としては痛快だ。いやそこまで感慨はないけど。面白いですね。

 

娘は今7才なのだけど、もう少し大きくなったとき、この名前をどう思うのかな。めんどくせえ名前つけたなあ、とか言われそうだけども、それもまた楽しみです。

 

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嬉遊笑覧〈1〉 (岩波文庫)

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