夢、マトリックス、1Q84その他の短編

今週のお題「お花見」

 

結婚して最初に二人で花見にいったときはふつうに楽しんだが、子供が生まれたあと、子連れで始めて花見に行ったときは、ちょっと目の前の事態が自分のこととは思えずめまいがした。

桜の下にレジャーシートを敷いて、妻と赤ん坊とお花見をしてる。この私が!?

 こういうできごとはずっと向こう側のことだと思っていたのだ。自分がそういうシチュエーションにいることが信じられない。夢みたい。しかもその年は満開後に行ったので、風が吹くとハラハラというよりザザザーと桜の花びらが舞ってる。春の日差しの中でなんだか眠い。ふと目が覚めたら十代のころの、あの高円寺の四畳一間風呂トイレ無しの部屋にいるんじゃないかとか、怖くなってきた。

幸せな状況に慣れつつも一方で、そんな違和感をずっと感じながら何年も花見をくりかえした。そして先週末もまた行ってきた。

 子供は二人になっていて、ベビーカーもいらなくり身軽になって、娘は器用に箸を使って熱いタコヤキを自分で口でフーフーと冷ましながら食べ、jkondo家のお子さんと誕生日が近い息子は、私が自分用にブラジル人屋台で買った牛串を食べてしまっている。食べ終わると広場で二人でケタケタと笑いながら走り回っている。トイレのタイミングと迷子の予防だけすれば、子供連れの外出がずいぶん楽になった。子連れである手間の方が多く、しばらくやめていたお弁当づくりも来年からまた復活しようという話もしたりして。 

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 もう何年かしたら娘はきっと父親を嫌がるようになり、息子もそのうち一緒に外出するのを避けるようになるはずだ。寂しい反面、子供には、そういうまっとうな思春期と反抗期を過ごし成長していってほしいと思っている。って、何をえらそうに親父面して言っているのだ。

 

本当にこれは夢だと思う。

ていうかまあ夢なんだけど。

 

でも夢だとしてもマトリックスだったとしても1Q84側だったとしても、その中で10年近く生々しく過ごしているんだから、別になんでもいいとも思う。なにはともあれ桜はきれいなのだし、私は確かにむこう側にいるのだから。

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