優しくって少しばか
今週のお題「卒業」
人間はつい気取ったことを言いがちです。
ほら。
ここでは「私はつい気取ったことを言いがち」と書けばいいものを、大上段に「人間は」とか「我々は」とか「電脳空間をたゆたう一介の電子信号群でしかない我々ブロガーは」とか書いてしまいます。だれがブロガーだ。
そういう時は言い換えればいいですよ、と言ったのは原田宗典さんでした。例に挙げられていたのは「仮面」でした。「私は私という仮面を被っている」というと奥が深く文学的な人間を思い浮かべますが、彼は「仮面」は「お面」と言え、と言います。「私は私というお面を被っている」
ほら、
夏祭りの縁日の風景が浮かんできたでしょう。
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ザ・イーグルスというロックバンドがあります。誰もが聴き飽きている「ホテル・カリフォルニア」や「テイク・イット・イージー」という曲を生み出したバンドです。ロスオリンピックのときに作られたジャニーズのグループじゃないですよ。
このバンドがまたメンバーが仲が悪いんですね。特にドン・フェルダーという方は孤立していて、再結成後の2000年「解雇」させられました。これね、普通はロックバンドで誰かが辞める時は「脱退」といいます。ロックバンドっぽく楽屋裏や打ち上げでビール瓶が乱れ飛ぶような喧嘩をしているイメージです。レコーディングスタジオでギタリストがポールに文句を言われて不愉快そうにしているイメージです。かっこいいですね。ていうかポールってだれ?
でも「解雇」です。一気にビジネス感が増し、産業ロックっぽくなります。実際のところあれだけのビックバンドになるとスピリッツではなくビジネスでないとなかなか回りませんから、仕方ないところもあります。
ところで、最初はオールナイターズ、そしておニャン子クラブあたりがきっかけだと思うのですが、グループを辞めることを少しオブラートに包んで「卒業」というようになりました。これは現在のAKB48にも引き継がれます。
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もうね、ロックバンドも「脱退」とか「解雇」じゃなくて「卒業」でいいと思うんですよ。基本は「卒業」。「ドン・フェルダー、イーグルスを卒業」「シド・バレット、ピンクフロイドを卒業」「エース・フレイリー、キッスを卒業」(あ、キッスは卒業が似合いますね)。そうやって相対化してしまって、さらにそこに収まらないものが出てきたら、おそらくそれがロックスピリッツみたいなものじゃないかと、そう思うわけです。
以上、卒業について書いてみました。
ドン・フェルダーさんについては、2009年に出版された自伝が参考になります。
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ほら、
気取ってるでしょう。なにがイーグルスでしょうか。しかも「ザ」イーグルスですよ。おれはちょっとロックに詳しいんだぞみたいな、メジャーな曲も素直に紹介せずに「聞き飽きた」とかね。ほんとうにいやらしい。というか「ジ」イーグルスですよね。
イーグルスの話は、チェッカーズと高杢禎彦さんにだいたい置き換え可能です。
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